
対象となる防火対象物(ビル・建物)の管理権原者は、建物全体の防火対策がしっかり守られているかどうか防火対象物点検資格者に点検させ、結果を消防長又は消防署長に報告する義務を持つことになりました。
防火対象物点検とは?
平成15年10月1日に施行された消防法の改正にともない、一定の防火対象物の管理について権限を有する者は、防火対象物点検資格者に防火管理上必要な業務等について点検させ、その結果を消防長または消防署長に報告することが義務付けられました。この点検は消防用設備等定期点検とは異なりますので、防火対象物点検の対象は、両方の点検及び報告が必要となります。消防設備点検との違い
防火対象物定期点検と消防設備点検の違いは点検の対象です。具体的には、防火対象物定期点検は防火基準の適否といったソフト面の点検が中心であるのに対し、消防設備点検は消防設備の設置や動作確認といったハード面の点検が中心です。
防火対象物定期点検と消防設備点検はまったく別の制度であり、建物の規模や用途に応じて、両方の点検が義務付けられることもあります。
防火対象物点検資格者による点検とは?
主な点検項目
防火対象物定期点検における主な点検項目は以下のようなものがあります。■防火管理者を選任しているか
■消防計画を作成しているか
■消火、通報、避難訓練を実施しているか
■避難階段に避難の障害となるものが置かれていないか
■消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか 等です。
点検が必要な建物
特定防火対象物が地階もしくは3階以上にあり、建物全体の収容人員が300人を超えている建物。もしくは収容人員が30人以上で屋外階段がなく、かつ屋内に階段が1つしかない建物。
消防用設備点検とは異なり、点検の義務は管理権原者ごととなっておりますので、点検義務のある建物に多数テナントが入居している場合は、管理権原者ごとに点検結果報告書を所轄の消防署へ提出しなければなりません。

点検する者の資格
防火対象物定期点検は「防火対象点検資格者」の有資格者が実施しなければいけません。防火対象点検資格者は、火災予防や消防防災分野で一定期間の実務経験を有する者で、登録講習機関による講習を修了することで免状が交付されます。
例えば、消防設備士や消防設備点検資格者、防火管理者の有資格者は3年以上の実務経験、一級建築士や二級建築士、建築設備士は5年以上の実務経験、市町村の消防団員は8年以上の実務経験が求められます。
消防設備点検と比較すると点検項目が容易に見えるため、誰でも点検できると思いがちですが、有資格者が実施しなければいけないことを覚えておきましょう。
点検および報告の頻度
防火対象物定期点検は年に1回実施しなければいけません。また、点検した内容を報告書にまとめたうえで管轄の消防署長宛てに報告する必要があります。
「特例認定」を受けた建物の場合は、防火対象物定期点検が最大3年間を限度にして免除されます。