「AT互換機につなぐためのアダプタ」を製作された方からの報告

(2013.5.7)
本サイトの回路図で、最も製作者が多いと思われるのはアーケード仕様のコントローラーをAT互換機につなぐためのアダプタです。
製作報告の中にはプリント基板を業者に発注して量産し、コミケで販売したという方もおられました。

その方はジョイカード(高橋名人のCMでおなじみ)をアタリ仕様に改造していくつか製作されていたとのことでしたが、この回路だと動かないという相談を受けました。
よくよく聞いてみるとC-MOS IC、4000シリーズの出力をそのままジョイスティックポートに繋いでいたということがわかり、なるほどと思い設計し直したのが4000シリーズ出力対応版です。

そのとき製作された製品を1つ頂いたので「お礼」として作ったページ…は商品名、個人名が書かれているので写真だけを公開しようと思っていたのですが…
(ページの作成日は(98.10.3)となっていました。)

なんと、その方が偶然にも調べ物をしている際に通りかかったそうで、このページを作っている最中にメールを頂きました。
(更新が13年ぶりだったことを考えると奇跡的な偶然ですね…(^^;)
その際、当時作ったページの掲載の許可を貰いましたのでリンクを張りました。
超連射アダプタforAT
写真

(販売価格を聞いて造りの割に「安いな」と思ったのですが、やはり言葉の端々から「どうやら赤字だったのでは?」という感触を得ています)

そもそもこの回路を設計したのはAT互換機を購入して、とりあえずジョイスティックを繋ごうと思い回路図をネットで検索しても出でこなかったのが発端です。

AT互換機といえば仕様が広く公開されていて誰でも自由に作ることができるような事を聞いていたので、こんな回路図は当たり前のように転がっていると思ったのですが、いくら検索しても出てこない。
地元にはそれなりに大きい本屋もあったのですが、それっぽい本を探しても見つからない。
とりあえず、安物のアナログジョイスティックとジョイパッドを購入し、仕組み自体は分かったのですが、イマイチ釈然としない。
その後もお茶の水の大きな書店をハシゴしたりしてそれっぽい本を何冊も読んだのですが「正式な仕様」というのは見つかりませんでした。

結局、はっきりした仕様も分からぬままぼんやりと見えてきたのは
一応IBMが設計したオリジナルがあるらしい。
このIBMゲームポートのスティック部分というものはPC/AT互換機標準の拡張バスであるISAバスに
「4つのボリューム付き連射装置(CR発振)」と同等なものを直接つないだもので、ボリュームを外付けに、それ以外をボード上に乗せたもの。
そしてこの4つの連射スピードをCPUが直接時間を割いてカウントしている。
(ボリュームの抵抗値が小さければ数字が大きく、抵抗値が大きくなれば数字は小さくなります)
というもの

ボード上にADコンバータとは言わず、せめてカウンタICだけでも載せておけば後々どれほど楽になったかと思うのですが、結果として
おそらく

入手の難しいICの使用を避け(型番が1つ違うだけで別物になってしまう)、
とりあえず手に入った部品(ボリューム、コンデンサ、トランジスタ等は値や型番が多少違っても何とかなる)でボードとジョイスティックを造り、
細かい違いはソフト側で対応する。


というように「部品の入手」の敷居を下げたおかげで広く普及したのではないかと推測しています。


ここまで読んで「あれ?」と思った方も多いと思いますが、
「IBMゲームポート仕様」のジョイスティック部分はアナログ入力なのです。
(4つのボタンはデジタル入力です。)
米国にはアタリ仕様という「スペースインベーダー」「ヘッド・オン」等の「日本的テレビゲーム」に適したジョイスティックの規格もあるのですが、PCはどうやら「フライトシミュレーター」を遊ぶためのものだったようです。

一応、アナログジョイスティックでも「上下左右」のデジタル4方向入力をすることができますが、ストロークが大きく「素早く正確な」入力には向いていません。
そこでデジタル入力のジョイスティック、ジョイパッドを繋ぐために変換装置が必要になるのです。

それがアーケード仕様のコントローラーをAT互換機につなぐためのアダプタなのです。
この回路はICを使わなくてもトランジスタやダイオードを使うことで実現できるのですが、あえてデジタルっぽくするためにICを使って組んでいます。(ICとしては比較的安い(50円ぐらい?)品種で、回路としてもシンプルに見えるというメリットもありました。)
それでもソフトから見た場合は「アナログジョイスティック」と同じなのでソフト(OS)の方で設定、調整(キャリブレーション)を行う必要があります。

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