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館山ライオンズ『ヒカリ藻』保護活動 『ヒカリ藻』とは 【この写真のように水面が黄金色に輝きます】 「黄色植物門黄金色藻綱」に属する単細胞性の藻類で、それぞれの個体はミクロ単位の大きさで水中に浮かんでいます。ヒカリ藻自体には発行能力はなく、気候の条件により水面に膜を張ったように浮かび上がります。
その様なところに外の光が当たると、細胞の奥で反射された光が細胞の色素により眩いばかりの美しい黄金色の輝きを見せます。
その姿から「ヒカリ藻」と言う名が付けられています。
全国的に見てもその存在は非常に少なく、有名な所では千葉県竹岡で発見された「ひかり藻」は国の天然記念物に指定されている程貴重な種類です。
【曼珠沙華とススキに彩られた洞穴周辺の景色です】 クラブメンバーの一員が、平成5年頃、日頃犬と共に散歩をしているコースの途中で偶然、山裾に穿たれた農業用の潅漑用水の「ほこら」の中に、黄金色に眩く光る「ヒカリ藻」を発見しました。
天然記念物の「ヒカリ藻」の存在を以前から知っていた同会員は、自分の身近な地域にも、この様な貴重な「ヒカリ藻」が、人知れず多く存在して生育していることに、大変な感動を覚えました。
この様な自然環境に感謝すると共に、この豊かな自然環境と貴重な「ヒカリ藻」を保護し広く地域の人々にもこの事実と大事さを知ってもらい地域の宝としてゆけたならば、これ程素晴らしい事は無いだろうとの思いにより、様々な方面への協力依頼に動き始めました。
【珍しいヒカリ藻の美しさに見入るクラブメンバー】 始め、殆どの機関は、あまり関心を示さず孤軍奮闘の体を示しました。 その中で平成8年「館山ライオンズクラブ」だけが、真剣に此の内容に関心を示してくれました。
説明を聞き、現場を見た会員全員が「ヒカリ藻」の美しさに感動し、又、「ヒカリ藻」保護のため必要な活動が、図らずも、社会福祉・環境保全の理念と、ピッタリ一致する内容である事により、「館山ライオンズクラブ」の「アクト」として取り上げられる運びとなりました。
様々な準備期間を経て、平成9年10月「世界ライオンズ奉仕デー」の日に会わせ、クラブ員全員による保護・奉仕活動としての清掃作業が開始されました。
奉仕作業 【全員、奉仕作業に良い汗を流しています】 平成9年10月8日、「ヒカリ藻」現場近くの発見者であるライオンズ会員の自宅で移動例会を開催、専門家を招き、卓話を御願いし、慎重な活動の開始です。
たまたま発見者の友人に、農学博士の林 角郎先生がおり、林先生からの専門家としての貴重な卓話とアドバイスを頂く事が出来ました。
そのお陰で、闇雲な作業ではなく、あらゆる角度から検討を重ねた上での慎重な作業となりました。
【熱心に講義に聴き入るクラブメンバー達】 【調査結果を踏まえて講義中の林先生】 新聞記者も同席、卓話を聞き、此の事実の重さを認識して頂けました。 【排出されたゴミの山】 【見違えるように綺麗になった洞穴の中】 作業終了後の現場周辺は夥しいゴミの山となり市の環境保護課と専門業者に委託して処理をしてもらうことに成りました。 【現在「ヒカリ藻」はこの写真のように、以前より多く観察出来るようになりました】
現場は、図らずも、沖積世代此処が暖かな海であったことを示す、大変に珍しい県指定特別天然記念物の貴重な「珊瑚の化石」が多く出土する場所で、現在その一部は保護ゲージが作られ一般の人々が楽に観察できるようになっております。
【化石珊瑚の回りの草取り作業】
新聞報道
この日の活動は、写真入りで活動内容紹介と共に地元紙に大きく報道され、広く一般の人々にも、我々の奉仕活動と共に「ヒカリ藻」の存在が知られることとなりました。
林角郎先生も、観察結果に基づく独自の論文を作成して、専門雑誌「冬虫夏草」に詳しく掲載され、広く紹介されております。
行政の理解
民間の努力で、市がこの様な形で理解を示し動いた事は、大変大きな成果と言えます。
平成11年7月10日付けの房日新聞に写真入りで大きく報道されました。
学術研究と、その画期的な大成果
我々は単なる奉仕活動だけではなく、此の「ヒカリ藻」の生態を含めた学術的な研究の必要性を強く認識いたしました。
「ヒカリ藻」の存在自体、大変に珍しく、その学術的研究面においては、まだ知られていない未知の部分が多い分野である事が解ってきました。
我々がその研究をするわけにもゆかず、色々な機関に相談を持ちかけた中で、地元の進学高校として名高く、歴史のある県立「安房高等学校」の生物部の顧問の青木清隆先生が深い関心と理解を示し、平成11年度より、同高等学校の生物部のテーマとして、此の「ヒカリ藻」の継続的な観察と研究に取り組むこととなりました。
2年間に亘る熱心な観察研究の結果、次第にその不思議な生態と、貴重な、新しい発見と事実が解明されてきました。
@植物でありながら動物のような生態など
A今まで謎であった、発光のメカニズム、実験と研究の結果、そこにはカルシュームイオンが深 く関与していることが発見されました
B更に、この地域には県の天然記念物の指定を受けている珊瑚層があり、これがカルシュームイ オンの基であることの関連性が解明され相互の深い関わりが証明されました
県大会から全国大会そして世界大会に
【研究成果はこの本に纏められた】
更に、県代表として科学論文全国審査にて発表され、その成果は「文部大臣奨励賞」を受賞しました、勿論、その快挙に館山市中、喜びに溢れました 『世界第4位』の栄冠
更に、この研究成果は、アメリカで開催された学生科学国際大会【50ヶ国から1,200人が集う国際大会で学生を対象にした世界最大規模】に、日本代表として選ばれました
生徒達は英語の特訓を受け、世紀の世界大会に臨みました、その結果、驚くべき成果『世界第4位』の栄冠を得ました
平成8年より始まる「館山ライオンズクラブ」の「ヒカリ藻・沼珊瑚」保護活動は現在も、本クラブにおける継続アクトとして、会員一人一人の、悦びと誇りをもって取り組まれております。 会員全員による、熱心な保護活動は「環境保全・社会奉仕活動」として位置づけ続けられ、この作業は、毎年、10月の「世界ライオンズ奉仕デー」のクラブの重要行事として行われております。
現場での移動例会、豊かな自然、野趣に富んだピクニックのような感覚の中で、草刈り機・鎌・熊手・等、思い思いの農具を持ち寄っての奉仕活動。
初年度の作業とは異なり、環境保護の意識の高揚が地域に行き渡り、普段でも可成り綺麗に保たれる様になりクラブの奉仕作業も大変楽になりました。
秋空の下、曼珠沙華に囲まれ、
近所の地主さん達も、駆けつけ『最近は色々な人が「ヒカリ藻」の観察に現場を訪れるようになってきましたよ。』と大変嬉しい言葉を聞かせてくれます。
会員もその言葉に元気百倍我々の活動が確実に素晴らしい豊かな実を結んできたことを実感致しました。
『アクト』の成果と所感
@民間団体としての、「館山ライオンズクラブ」による、地元の地主さん始め、部落の人々の理
解に支えられての活動
A研究機関としての、学校の「生物クラブ」の研究
B館山市の行政としての、理解と協力。
「館山ライオンズクラブ」の熱心な活動が、まさに「官民一体」「三位一体」として、民間・学問・行政と言う、大きな輪による協力を生み、市民の認識を深め、大きく豊かな稔りに結びついてきました。
【現在「ヒカリ藻」は館山の見所の一つに成っています。】
市の観光ルートに「ヒカリ藻」と「珊瑚層」が重要ポイントとして組まれ、毎年多くの観光、見学者が訪れるようになりました。 私達が継続事業として取り組んできた地道な活動を通して「豊かで恵まれた私達の郷土と自然を守る」と言う理念、そして、 ライオニズムの精神と意識「奉仕」の意味の持つ素晴らしさと力が、大きく社会を動かし、その成果が、広く市民の意識に浸透してきたものと確信しております。
この様に、私達の活動の成果として、市の重要ポイントにまで認識されたことは、私達に取りまして、更に望外の喜びです。
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