■唐棧織(とうざんおり)とは |
細い木綿糸で、独特の細かい縦縞を織り出した布です。唐棧縞(とうざんじま)、棧留縞(さんとめじま)などとも呼びます。 |
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■江戸時代に大流行 |
原産地はインドで、日本には安土桃山時代(16世紀末)にオランダ船でもたらされたのが最初だといわれています。
「唐棧は、江戸初期寛永のころからすでにみられ、江戸半ばころから末期にかけて大流行した。とくに唐棧織がもたらされた文化・文政・天保のころが全盛時代といえる。細い糸で打ちこみがかたく織られているため、麻状の外観と絹のつやと風合いを有し、また、細かい縞柄が江戸好みの渋く、いきな美しさをあらわしており、今日でも趣味的な装いに珍重されている」〔『新・田中千代服飾事典』(同文書院)より〕
江戸時代では特に、贅沢をいましめた天保の改革で絹織物の着用が禁止されたために、絹に代わる粋な織物として、もてはやされたと言われています。 |
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■「とうざんおり」という名前の由来 |
原産地がインドのサントメ地方だったので、江戸時代には「サントメ縞」と呼ばれていましたが、それに「舶来物」を意味する「唐」が付いて「唐サントメ」と呼ばれるようになり、濁音便化して「とうざん」になった───と言われています。
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