ひと・ゆめ・みらい南房総市の新たなこころみ
胎 動 躍 動
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南房総市資料より抜粋

村長(社長)の明確なゆるぎない目標、役場職員(社員)の垣根の無い意志の疎通、そして村民(お客様)への裏も表もない信頼を裏づけとしての協力体制ができ上がった訳です。そして、根底にあるものは、村民全てに対して公平・公正・公明であり、村民と一緒に子どもや孫へ残す「幸せ地域社会」を築いていこうと言う、私心のないリーダーのなせる業が、生み出した傑作であったと心に受けとめました。滝沢村を甦らせた、柳村村長も3期12年を以って、村民に惜しまれながら勇退、後進に道を譲る決断を任期8カ月前の3月にされました。この11月12日に新しい村長が決まります。縁あった滝沢村の村民と新村長にエールを送りたいと思います。

南房総市の皆様に

 南房総市は、この10月から「行政改革プラン」の策定作業をスタートしましたが、後顧に憂いを残すことのない改革プラン策定を委員の皆様に希求いたします。南房総市の運命を握ることになるからであります。
「一利を起こすは、一害を除くに如かず」「一事を生やすは、一事を減ずるに如かず」という名言が残されています。旧7町村が合併して誕生した南房総市を、子どもや孫たちに胸を張って遺すためには、根本的な改革・改造がなされなければ、実現不可能であることは誰もが承知していることではないでしょうか。七つの自治体が一つになりました。仕方のないこととはいえ妥協の連続の上に成り立っています。次の世代に渡すためには、明確な目標の基に大変な英断と、何がなんでも南房総市を良くしたいという、大きなエネルギーが必要とされます。合併から半年が過ぎ18年度予算も議決されました。市政懇談会も各地で開催され終わりに近づいています。滝沢村だからできたのではありません。それは、12年前の滝沢村を返り見ればはっきりと示すことができます。一人の強い意志を持った村長が少しずつ協力者を得て実現したと言う事実です。柳村村長43才からの挑戦でした。南房総市4万5千5百十人の市に決して不可能ではない奇跡がおきることを期待します。今、その時であることを明言させていただき、その実現のために是々非々の立場に立ち、力一杯の協力を惜しまないことを付け加えさせていただきます。沢山の情報を収集して住民参加の町づくりをしなければと、「地域は、地域のみんなでつくる」との決意を新にさせられた滝沢村訪問でありました。

 いくつか数字を比較しておきますので、皆様のご意見をお聞きいたしたいと思います。この数字をどのように読むのかは、皆様の判断にお任せいたします。一緒に考えましょう。
  11月19日(日)、午後1時30分より、和田町コミセンにて、「滝沢村報告座談会」を開催いたします。ぜひ、お話にお立ち寄りください。

南房総

滝沢

人口(18年9月末

住民基本台帳人口)

45,510人

16,919世帯)

52,943人

19,458世帯)

面     積

230.22ku

182.32ku

職  員  数

713人

302人

予 算 規 模

189.9億円

125.9億円

財政力指

0.353

0.58

経常収支比

94.9%

87.5%

起債残

268億円

173億円

行政施設(庁舎)

本庁+6支所

本庁+2出張所

幼稚園  幼児数

16園 564人

4園 990人

小学校  児童数

16校 2,045人

8校 3、263人

中学校  生徒数

7校 1,186人

6校 1,773人

岩手県滝沢村
      5万3千人の村の改革。

10月8日、サンデープロジェクトの中で、「民間を越える公務員」と題して放映があり、内容にショックを受け、早速、岩手県滝沢村を尋ねました。

約束の時間は朝の8時30分、受付を通り経営企画部でいただいた名刺の裏には、滝沢村行政の「経営理念」として、「『幸せ地域社会』の実現を目指します。私たちは地球的視野から地域を見つめ、顧客一人ひとりが求める『幸せ地域社会』の実現をめざし、人々と協働して地域価値の創造に挑戦します。」とありました。続いて、「経営の姿勢」として、「確たる経営志心を持って『地域価値』創造に取り組みます。聴く心を持つ人間、学ぶ姿勢を持つ職員、変革の勇気を持つ組織、人々と共に誇れる気持ちを持つ経営体」と印刷されていました。早朝に見た職員の清掃風景といい、名刺裏に書かれた改革への意欲といい、遠路訪問したことが間違いではなかったと確信しました。

滝沢村が、人口5万3千人(平成18年9月末)、日本一人口の多い村であり、「チヤグチヤグ馬コの里」として、また、小岩井牧場の有るくらいしか知識はなかったのですが、冒頭に書きました、「サンデープロジェクト」の中で取り上げられたことで、一躍全国的に注目される存在になった訳です。大変情報公開がされている村であり、訪問前に村長の村づくり理念を始めとして、数値としての資料はインターネットでほぼ入手することができました。しかし、「百聞は、一見にしかず」とか、やはり肌で感ずるのが一番と出かけることになりました。

 合併したての「南房総市」と、単純に比較はできません。しかし、行政改革が一番の命題である以上、大変参考になり、学ぶべきことがあまりにも多い村であったことを肌で痛切に感じることができました。


「民間を越える公務員」の正体
 今から12年まえの平成6年11月、村長選で当選した柳村村長の初登庁の第一声は、「社員の皆さん」という呼びかけから始まったのことであります。話の内容も職員の皆さんには、到底理解のできないものであり、多くの職員が何をおふざけなと受けとめたとのことでした。それからの村長は、テレビ報道でもあったとおり村長室にはほとんど居らず、現場に入り職員の間をくまなく廻り、職員との意志の疎通を図ること、職場でお互いの心のバリアフリーに腐心、全神経を注いだようです。その間に、役所独特の縦割り社会・縄張り・前例踏襲主義にメスを入れ、「役所は何のためにあるのか、住民のためにある組織である」という考えを根底にして、職員の思考回路の改革と組織の改革に取り組み、上層部から一般職、先輩から後輩まで率直に話しのできる雰囲気づくりに2〜3年をかけて基礎づくりをしたようです。平成10年、庁内LAN稼動。平成11年、組織のフラット化第一段階として、大変抵抗のあった係長制度(64人)の廃止。平成12年ISO14001と9001承認をダブル取得。このころから職員の間に何か改革の手ごたえを感じる人がようやく出始めてきたようです。一年置いて平成14年、組織のフラット化、第二段階として、課長補佐制度(40人)の廃止と平行して、部長制度の採用。それまでの決済には7つの決済印が必要の所を4つに、日常では、ほとんど職員と課長決済の二つの印でOKというところまで改革が進みました。その結果、スピード決裁がなされ役場の速くなった対応が、村民との信頼関係構築の基となり村民の意識が変わってきたとのことでした。


ゆるぎない目標と協力体制の確立

部長会議は毎朝8時から8時30分まで行われ、村の問題点を皆で考える会議を持ち、各部間を越えて解決にあたっているとのことでした。現在、役場職員は、「地域づくりのコーディネーター」として、住民の参加意識を引き出し、「住民と行政が一緒になって地域づくりを行う」という、体制を現実のものにしました。「地域には、地域にあったものしかないのだから、これからの分権社会にあって、地域が自立して地域がどうやったら良くなるのか、住民と一緒に考えて編み出していくしかありません。」とのまとめのお話を聴き役場を後にしました。