なぜ毎日亜麻の実を摂らなければいけないか

by Paul A. Stitt

ポールA.スティット氏は生化学の理学修士(MS)で、必須栄養研究所の研究所長(Research Director of Essential Nutrient Research Corporation)であり、国立癌研究所(National Cancer Institute)の顧問をしている亜麻の実の国際的権威である。 

亜麻の実は必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸(アルファ-リノレン酸)を最も多く含んでいる。 オメガ3脂肪酸は人間が健康を維持する上に極めて重要な栄養素である。 オメガ3脂肪酸は10年前頃から我々の食事から失われ始め、今では殆どなくなっている。 農場の土地が脱ミネラル化していることと、食物の過剰な精製が主因である。 研究によれば、我々は健康を維持するのに必要な量の20%を得ているに過ぎない。 栄養素オメガ3脂肪酸はそれ程重要であるが、それ程少ししか理解されていない。 ドナルド・D・ラディン博士はそのことを「栄養学の失われた環」”the nutritional missing link”と呼んでいる。 彼はこの栄養素に焦点を当てて、「オメガ3現象、80年代の栄養学の飛躍的発展」と言う本を出している。

また栄養学の研究分野では、オメガ3脂肪酸の欠乏がいろいろな退行性疾患の基礎的因子であることを示す証拠がつぎつぎと集められている。 それらは、糖尿病、心臓血管系疾患、関節炎や免疫不全などである。

食事をオメガ3脂肪酸で補充する必要があることは前代未聞である。 我々の体はそれを必要とし、それを食事から得られなければならない。 必須栄養研究所は、この必要を充たすために単品で最もオメガ3脂肪酸の効力のある自然食品 (wholefood)である亜麻の実を利用して、生命維持に不可欠な栄養素で強化した全く独特な製品――メガ・オメガMEGA OMEGAを開発した。 
 
メガ・オメガの中心となる材料は亜麻の実であり、栄養学的に知られている最も完全な食品の一つである。 亜麻の実はオメガ3脂肪酸(アルファ・リノレン酸)の極めて多い供給源であり、健康に必要不可欠で、しかも食品だけから得られるのである。 オメガ3脂肪酸は人体のすべての細胞に重要な機能を持っている。 オメガ3脂肪酸は全ての細胞や細胞内小体(註1)の膜を構成し、細胞の「門番」として働く。 不飽和結合の柔軟性により膜に流動性があり、プロテイン・チャンネル、ポンプその他の特殊なメカニズムにより細胞内外への物質の輸送に関与している。

生体はアルファ・リノレン酸から、ある種の魚油にあるEPA(エイコサペンタエン酸、eicosapentanoeic acid)や、DHA(ドコサヘキサエン酸、docosahexaenoic acid)など、必要とするその他のオメガ3脂肪酸を作ることができる。 EPAやDHAは共に人間の脳細胞、シナプス(註2)、網膜、副腎、性腺など活動性の高い組織の主な構成成分である。
オメガ3脂肪酸はプロスタグランディン(PG)生成にも必要不可欠である。 PGはホルモン様物質で、全身の機能を調節している。 PGは、細胞レベルでは(血中コレステロール濃度や血流調節を含めて)心臓血管系や、炎症過程、治癒や修復過程、免疫系、脳内の神経回路、消化器や生殖器系、体温調節などを助けている。

 オメガ3脂肪酸は脳や脳脊髄液(註3)や網膜の発生に重要である。 食事中にオメガ3脂肪酸が欠乏するとコレステロール値や中性脂肪(註4)値が上昇し、血小板の凝固性(註5)が高まるために、心臓の機能障害と関係がある。 食事にオメガ3脂肪酸を補充すると、体の炎症反応性を下げて関節炎を軽減し、またインスリン・レセプターの反応性を増して糖尿病を軽減することが分かっている。

亜麻の実やメガ・オメガはその他にも重要な栄養素も含んでいる:

ビタミンとミネラル: 亜麻の実は天然のビタミンや多くのミネラルを含んでいる。 メガ・オメガは更にその利点を強めるためにその他の栄養素で強化してある。 クローム、セレン、亜鉛、とビタミンB6とが、オメガ3脂肪酸が吸収されるために添加されていることも重要である。 亜鉛とビタミンB6がなければオメガ3脂肪酸は用いられない。 

可溶解性線維: 可溶性線維は消化された材料の腸内通過時間を改善する。 可溶性線維はコレステロールを下げるのに極めて効果的である。

非溶解性線維: 粗質食料roughageとして知られる。 毒素や胆汁内のコレステロール(註6)を吸着して排泄する。 便の量を増し、軟らかくして通じを規則正しくする。 痔や、便秘による大腸内圧亢進の結果生じる大腸憩室を軽減する。

リグナン: メガ・オメガは、天然に存在するリグナンの最も豊富な亜麻の実を含んでいる。 亜麻の実には他の穀物のどれよりも100倍ものリグナンがある。 これらの植物性リグナンは抗菌性、抗黴(かび)性、抗ウイルス性、抗腫瘍性を発揮する。

FDA (アメリカ食品・医薬品局Food and Drug Administration) はある種のリグナンが極めて強力な抗酸化物質であり、それが亜麻の実に1000ppm以上の濃度で存在することを発見している。

メガ・オメガは将来性のある素晴らしい製品であり、今日すべての人々が入手してその恩恵を受けることが出来る。



註1:原文ではsub−cellular membranesと書いてあるが、最新版のDoralnd’s Illustrated Medical Dictionaryでもこの表現はない。 小器官organelles ( mitochondrion, granular endoplasmic reticulum, Golgi complexなど)の膜を意味するであろう。
註2:シナプス: 神経細胞から出る神経線維の終末が他の神経細胞と接触する部分。 これを通して神経の興奮が伝達される。
註3:脳液brain fluidと書いてあるが、医学では脳脊髄液cerebrospinal fluidと呼んでいる。
註4:triglycerideと書いてある。
註5:粘性stickinessと書いてある。
註6:女性ホルモンの一つ、エストロゲンも線維に吸着されて便中に排泄されるが、線維が少ないと血中に再吸収(腸肝循環)されて高濃度が持続する。 その様にして線維は乳癌の予防に役立つ。