2000年5月6日〜7日

僕の好きな場所

 

特にが付くほどの宿ではないかもしれない。

それなのに何が良いのかと聞かれると,とても困る。

僕には,居心地が良い。

何に惹かれるかと言えば,よく分からない。

居心地が良いのには,一つの理由がある。

宿の勝手なファンクラブ員であるからかもしれない。

(宿の情報と理由はここから)

 

結婚20年目のディナーはふんわりこんで

 

今年僕ら夫婦は,2000年5月5日で結婚20周年を迎えた。

妻は共働きの上に,子供の進学,僕の遠距離通勤,何かと仕事が増える一方だ。

姑は,年々愚痴が増え,時に2軒分の仕事がやってくる。

この20年間で妻の苦労は確実に倍増したようである。

5月の黄金週間を目前にした4月半ば,「何処かに出かけたい・・・」と妻の口からポツリともれた。

この言葉が妻の口から出るときは,かなり凹んでいる。

僕は日程表を片手に,お気に入りに登録した「宿」のホームページ数箇所をチェックした。

その中に「ふんわりこん」の空きをみつけ,ディナーをオンライン予約した。久しぶりの「ふんわりこん」である。

 

ハウスワインと,チキンスモークと

メインディッシュ チキンのスモーク

「ふんわりこん」のディナーは,スモーク料理がメインである。

この日は定食にグルメコースを追加しハウスワインのフルボトルをつけたディナーとした。

「ふんわりこん」のハウスワインはドイツ産で,スイート&フルーティーな白である。

この日のコースは,オードブル2品・若竹コンソメスープ・マスのスモーク・マスのムニエル・チキンのスモーク・ライスにデザートとコーヒーが付いた。

ここの料理は,全体にボリュームが有るのが特徴。

程よい塩加減と熱薫法で自家調理されたスモークは,桜のチップの香りが心地よく鼻腔をくすぐり,フルーティーな白ワインがぴったりである。

15年目の樅の木の下で

15年前,開業当初の「ふんわりこん」は,宿泊者用のテレビ・新聞が無く,宿泊者を日常に引き戻す情報ラインがまったく存在しない宿で,そこは時間だけを楽しむ空間が静かに横たわっていた。

1984〜5年頃はペンションブームで,いたる所にペンションが出来ており,まだ若く,お金に余裕のなかった僕ら家族は,それから10数年間,冬には「ふんわりこん」に,夏には各地のペンションを利用し良くツーリングに出かけた。そして家族も増えた。

それでも,「ふんわりこん」に勝る居心地の良い宿には,なかなか出会えなかった。

朝露にぬれる野ばらの新芽

僕の仕事の都合で,冬の旅行が出来なくなり,「ふんわりこん」に行けなくなった。

そして,5年ぶりに行った「ふんわりこん」の樅の木下で思った。

この15年間で,この宿の経営者は,一寸だけ営業熱心になったようだ。

コテージやコネクティングルームが出来,各部屋にはビデオ付のテレビが入り,富士の絶景が望められて24時間入れてる岩風呂が出来た。

メインダイニングで取る夕食の時間帯が決まり,宿泊形態の選択肢も広がった。

それはそれで,泊まる人間のニーズや宿のサービス水準維持のための選択だし,うるさいガキ(失礼可愛いお子様)達が食事中に走り回らなくなったり,食事時間を他人とはずらして,静かに食事を楽しめたり,ある面快適になったことも事実である。

それでも,ここに来ると生活時計のリズムが遅れだし,時間が緩やかに流れるはじめる。

僕には,ここが,心地がよい。