凍てつく中でも、日が当たらないところでも冬期は十分鑑賞でき、他の観葉植物にみる冬期の繊細な採光・温度管理がいらないため、気品高いゆえに難しいと思われがちですが何方でも容易に栽培できる植物です。 品種は数百種類にも及びますが、葉長が30cm以上で豪壮な大葉種、10〜30cmの薄葉種、その中でもクルクルとカールした獅子種、10cm以下で葉肉が厚い羅紗(小葉)種に大別されます。 葉芸で分類すると以下の通りとなります。 <千代田,根岸斑系統・胡麻斑系統・地がわり縞甲龍系統・縞甲龍系統・2面甲龍系統・熨斗系統・裏龍系統・羅紗地系統・矢筈系統・日月星系統・剣葉系統・図物系統・虎物系統・群雀系統・玉獅子系統・虎斑系統・白斑系統・大葉系統・無地系統・紅流し1品>この中でも図斑などの葉芸は現存する世界の植物の中で、おもとのみにみられる実に味わい深い特徴です。以下、代表する品種をご紹介いたします。 |
>>>羅 紗 種<<<
葉長10cm以下の葉肉が厚い小型種(鉢の口径は10cm内外)
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天光冠 艶消し地で総ガシ竜を現し、丸みを帯びた葉先が特徴。 葉繰り、襟組み共にしとやかで気品に満ちた羅紗種を代表する品種である。 作出年度:明治31年 作出者:蔦屋 命名者:畔柳 善蔵 登録年度:昭和9年 登録者:日本おもと協会 |
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寿松![]() 千代田斑(飛白模様の打込み斑。右円内参照)を羅紗地に現すことが近年の実生作出者の夢でした。平成7年に登録されたこの品種は玉松・春松に次ぐ羅紗千代田で、愛好家の垂涎の的となっている。(おもとクラブ 愛和にて愛培中) |
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お多福の図 あれた柚子肌の地合いで雅糸竜、熨斗葉などの葉芸をみせる「お多福」に鮮明な図が現れたもの。平成7年度の全国大会で特別賞を受賞した木(左の写真)の図質は他の追随を許さない鮮明な図で愛培家の憧れの的となっている。価格もこの種にしては破格で、相場の10倍で取り引きされた逸品(園芸マニア記載)である。現存数3本。(おもとクラブ 愛和にて愛培中) |
>>>薄 葉 種<<<
葉長10〜30cm内外の中葉種
日月星 樋い葉で細く、葉先は鋭く尖り、黄白色の深い覆輪をかける。安政年間(1854〜1860)に伊予国(愛媛県)最上の三河屋某氏が愛培中のものを摂津国(大阪)池田の西村某氏が譲り受け培養した。 銀月 「日月星」の黄覆輪が純白に変化した品種で清楚な趣のある品種である。 朝陽 「日月星」に雪白の虎斑が現れた品種。 地球宝 「日月星」に明治30年頃より図斑が現れ、明治38年日の丸と日章旗を配しおもと名鑑に発表した。また、太平洋戦争末期には1本で飛行機が買えたほど人気が飛躍し、陸・海軍に1機づつ献納したことは今でも語り種となってます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | ||||||
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![]() 富士の雪 古今輪(葉長20cm内外・葉幅3cm内外の覆輪で一文字とも呼ばれる)に虎斑の現れたもの。文久元年(1861年)、下総国(千葉県)成田の山田文蔵氏方で古今輪に虎斑が現れ、慶応元年(1865年)の名鑑に紹介された。この写真の木は「現代おもと名品集」(主婦の友社発行)の表紙を飾ったもので、大柄な虎斑に細かな散り斑が入るのが特徴で、虎質も雪白で実に見ごたえのある品種です。 おもとクラブ 愛和 培養中。現在12本 | ||||||
富士の図 「一文字」という古来からある覆輪だけの薄葉種に突然、図斑(おもとのみに現れる規則性の無い複雑な模様)が現れたもので、図の種類によって以下の通り区分できる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]()
内閣総理大臣賞受賞の吉田性(中央)−おもとクラブ 愛和 培養中 現在5本− | ||||||
千代田・根岸班の代表品種 飛白の打込み斑は「日本の文化の趣き」をも感じさせ、気品があり、なぜか心をおちつかせてくれる品種である。
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>>>獅 子 種<<<
薄葉(中型種)の中でもクルクルとカールしたものを獅子種と呼び、この葉芸はおもと特有のもので味わい深い品種。
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玉姫 ゆったりとした獅子芸に盛り上がる総ガシ竜、鳴門の渦潮を思わせる玉竜、葉面を突起させる跳ねを現し、葉肉も非常に厚い多芸品である。昭和52年に愛知県より産出。(作出者は不明) |
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玉獅子の虎 天保年間に出現した獅子系の元祖ともいうべき玉獅子(艶消し地の覆輪のみの芸)に純白の虎斑が現れたもので明治30年頃愛知県の石原宗三郎方で変化した。作出年度が古いわりには虎斑の良いものは少なく、京都で行われた全国大会で人々を魅了した小林信夫氏(長野県)の系統は逸品である。(おもとクラブ 愛和培養中) |
>>>大 葉 種<<<
葉長が30cm以上で実に豪壮・雄大な品種。
曙の景観を思わせる曙虎斑の代表品種
外輪山(左)と平成8年度新登録の達磨(右)
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駿河富士 ![]() 6月の新芽の時期はワクワクと心踊る毎日です。こと昭和34年に静岡県で発見された駿河富士は見事なまでの純白の新芽が伸び、美しさの極みであります。伸びきった頃から徐々に緑がのり、駿河斑を現わします。 駿河富士の原種は大象冠というおもとで、鎌倉時代には数々の書籍等から実在していたと推測されます。九州は日向地方の杉林に自生しており、現在のおもとの基となる小庄内・宗石・大象冠が自然交配の実生として生まれ、長年に渡り、縞斑・虎斑・図斑・覆輪・和羅紗・広葉・中葉・細葉・立ち葉・獅子葉・甲龍等が野生種の中から変化してきたと思われます。大象冠から変化した駿河富士は江戸末期頃、静岡県、富士宮市大淵から出現したと推測され、清水市の小泉 兵一氏により昭和39年に登録されました。この種の特徴は何といっても出芽時に純白な新芽を伸ばすところにあり、美の極みであります。 ![]() 大葉系の中でも特大の大象冠が原木の為葉長は50p内外、葉幅は10〜15p内外にもおよび、葉先は丸く大象冠独特の縦じわが葉の何枚かにでる。出芽時に純白に伸びてくるものが系統がよいものである。7月下旬より葉の基部より葉先に向かって緑色の散斑縞が上り出す。 ![]() 駿河富士の中でも白さが純白で紺地も濃紺緑色で実に美しい。白さが冴えている分葉焼けをおこしやすく採光には注意を要する。この種は出芽の時から濃紺緑色と純白色の縞が不規則に入り伸びてくる。また毎年斑を現すとは限らず安定感にかけるのもこの種の特徴であるが図ものがとんだ状態とは違い、ほとんど青になってもいつかは斑を現してくるので安心して辛抱強く育成することが肝心である。 ![]() 駿河富士の芽変わり品種で、全葉が黄金色で濃紺緑色の覆輪が廻り70%遮光下では秋になっても後暗みすることなく雄大美麗な品種である。 ![]() やや厚葉で出芽時より葉全体に吹雪をかけた斑を現し、葉の根元まで秋になっても後暗みしないのりがけ斑を現すことがこの種の特徴である。品薄の為、駿河富士愛好家の羨望の的となっている。 ![]() 葉全体に千代田斑が入る品種。四国地方、千葉地区には白斑性は数多く存在するが、打ち込みの千代田斑を現すものは数えるほどである。実に豪華な味わい深い品種である。 ![]() 駿河富士に図斑を現した品種で駿河斑と図斑がバランスよく出た時は見ごたえのある品種である。この種が和羅紗に変化した千代の富士(仮称)は月刊誌園芸マニアに「これからを担うおもと」として太陽殿の図と共に紹介されてから全国的に知られるようになったが現存数も数本しかない為、入手には困難を要す。 この他に ![]() ![]() ![]() (全種、おもとクラブ愛和にて培養中) |